麻酔科医の目から見た「カンボジア」の外科治療「地域格差」

執筆者:医療ガバナンス学会2018年11月7日
現地にて。中央が染川医師(筆者提供)

 

【筆者:染川友理江・東京都立多摩総合医療センター麻酔科医師】

 私は医師5年目の麻酔科医で、今年から麻酔科勤務を続けながら、公衆衛生大学院の修士課程で公衆衛生についても学んでいます。

 2年程前から、アジアの途上国で麻酔科医として医療ボランティアなどを経験し、カンボジアは今回で3度目の渡航となります。

 私が、一番興味関心があるのは、世界の基本的な医療が受けられない人を減らす為の仕事、いわゆる国際保健と呼ばれる分野です。

 なぜ国際保健に興味を持つようになったのかとよく尋ねられます。おそらく、小学生の頃に初めて知ったユニセフの存在や、途上国の現状について書かれた本を読んだことに影響を受けたのだろうと考えています。しかし、初めて途上国で医者をしてみたい、と思ったのは、自分でも不思議なのですが、中学生の時、自宅の庭で剣道の素振りをしている時でした(当時剣道部でした)。私は理論的に物事を考えるのがどちらかというと苦手で、直感的に物事を決めることが多くあります。例を挙げると、高校3年の最後の模試で大学自体に入れるか入れないかの成績だった為、周りの人には全員反対されましたが、医学部を目指して浪人する事を直感的に決めた、というような具合です。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。