制裁発動直前、イランのテヘランで行われた大規模な反米デモ(C)EPA=時事

 

 約1カ月半にわたったテヘランへの長期出張から日本に戻った1週間後の1979年11月4日、米国大使館占拠事件が発生した。

 あれから39年、奇しくもほぼ同じ日(11月5日)に、米国によるイラン制裁第2弾が発動した。

 だが、目玉となる「原油輸出ゼロ」への抑え込みは、土壇場にきて主要輸入国8カ国に対し「2次制裁免除」が通知され、先送りとなった。いや、「先送り」ではなく、これが恒常化するかもしれない。

 原油価格は、今年5月にトランプ大統領が「核合意」からの離脱を発表し、6カ月後の「原油輸出ゼロ」政策実現に向け関係各国への根回し行脚を始めたことが大きな要因となって、激しい乱高下を示してきた。

 さらに10月初旬には、サウジアラビア(以下サウジ)人ジャーナリスト、ジャマール・ハーショクジー氏殺害事件が発生し、アメリカが「サウジの関与が判明したら制裁を課す」意向を示したことにサウジが反発、「制裁を課したら、それ以上の報復を行う」と高官が語ったと伝わり、すわ、サウジが石油を武器として使用し、「オイルショック」が再来するのかと市場は短時間動揺した。だが、サウジのハーリド・アル・ファーリハ・エネルギー相が公式に「その意図はない」と発言したことにより、落ち着きを取り戻した。

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