習近平国家主席(左)の「一帯一路」と安倍晋三首相(右)の「インド太平洋戦略」が、アフリカでせめぎ合う (C)時事

 

篠田英朗:アフリカのことで重要なキーワードを、『フォーサイト』ですから忘れないように拾っておきたいのですが、それは、たぶん「一帯一路」ですね。

「一帯一路」とは

白戸圭一:まず、アフリカと一帯一路について事実関係を整理しましょう。一帯一路がぼんやりとした構想として姿を現したのは2013年ごろですが、一般的に中国が明確に言い出したのは2015年だと言われています。そして中国は、2017年には「一帯一路フォーラム」を開いています。しかし、アフリカとの関係でいうと、中国は今年になるまで、「我々はアフリカで一帯一路を進めています」ということを明確に言ったことはなかったんですね。

白戸圭一さん

 中国政府が一帯一路とアフリカの関係を公式の場で初めて明確にしたのが、今年の9月に北京で開かれたFOCACⅦ(第7回中国・アフリカ協力フォーラム)の場においてでした。FOCACは2000年から3年に1度のペースで、アフリカと中国で交互に開催されており、前回2015年のFOCACⅥは南アフリカで開催されました。今回は北京でしたが、ここで習近平中国国家主席が、アフリカも一帯一路の一部であり、関わりがあるということを初めて公式宣言した。つまり中国とアフリカの関係は、関係強化という事実が先行し、後付け的に一帯一路というキーワードをあてはめたようなところがあります。

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