「運慶 快慶 定慶そして――」慶派仏師「作風」の見極め方

執筆者:フォーサイト編集部2018年11月15日
右が定慶自身が手掛けた《准胝観音菩薩立像》。観音菩薩立像それぞれの「個性」が楽しめるのは6体揃った群像だからこそ。現在は光背が取り外され、美しい後ろ姿を見ることができる 撮影:広瀬達郎
 

 運慶(1150頃~1223年)と並び称される鎌倉時代を代表する仏師・快慶(生年不詳~1227年以前)。運慶の作風を受け継いだ弟子・肥後定慶(ひごじょうけい、1184~1256年以降)、そして快慶の一番弟子・行快(生没年不詳)――。承久2年(1220)に開創された古刹・大報恩寺(京都市上京区)には、これら慶派仏師の名品が現在でも数多く残る。

かつて本堂では本尊の《釈迦如来坐像》を囲むように《十大弟子立像》が安置されていた。今展覧会ではそれを考慮しながら展示されている 撮影:広瀬達郎

 度重なる戦火に見舞われた京都洛中では、大報恩寺のように本堂そのものから創建当時の姿を留めている寺院は奇跡的だという。その貴重な鎌倉彫刻が、特別展「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」(12月9日まで)として東京国立博物館で公開されている。

 寺外初公開の秘仏《釈迦如来坐像》(行快作、重要文化財)のほか、光背、台座まですべて現存している《六観音菩薩像》(肥後定慶作)、快慶晩年の名品《十大弟子立像》などが一堂に揃う。これらの作品から見る慶派仏師の魅力を、東京国立博物館 絵画・彫刻室主任研究員の皿井舞さんに聞いた。

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