「中期中絶」の壮絶な現場と「性教育」「アフターピル問題」

――誰もが笑顔で赤ちゃんを抱っこできる日が来ますように

執筆者:医療ガバナンス学会2018年11月19日
スペインの「サントドミンゴ教会」広場にあるモニュメント「胎児への記念碑」(写真と本文は関係ありません)

 

【筆者:相馬花(仮名)・産婦人科クリニック看護師】

 私はとある産婦人科医院で働く看護師です。人工妊娠中絶の件数が多く、中でも、子宮収縮剤で人工的に陣痛を起こし流産させる、いわゆる“中期中絶”(妊娠中期=12週~22週未満)が数多く行われているクリニックです。まだほんの“子ども”にしか見えない未成年や、様々な事情を抱えた大人の妊婦さんが、中絶を希望して訪れます。もちろん医師は産むことを勧めますが、やはり事情は人それぞれです。

 一昨日は、隣の部屋が出産のお祝いムードに包まれる中、私のいた部屋には重苦しい空気が流れていました。皆、一声も発することなく、中絶手術受けた本人も声を殺して泣き、静けさの中で淡々と処置は終わりました。看取りは慣れているつもりですが、中期中絶の日は、いつも悲しく辛い思いに押しつぶされそうになります。

 とっても綺麗な可愛い赤ちゃんでした。本当はあと半年もすれば、産声をあげ、抱っこしてもらえるはずだった命。娩出後に臍帯を縛っても、赤ちゃんがしばらく生きていることもあります。私はそのまま処理を進めず、時間がある限り、赤ちゃんに寄り添います。最期の時が少しでも安らかでありますように。抱っこを拒否されるお母さんも少なくありませんが、そんな時は、代わりに抱っこしてあげます。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。