ご褒美の「年餅」を授ける鹿児島・甑島の「トシドン」(C)時事

 

 インド洋に浮かぶ島国、モーリシャスの首都ポートルイスで、11月26日から12月1日にかけて開催される「国連教育科学文化機関(ユネスコ)」の第13回政府間委員会。そこで秋田県の「男鹿のナマハゲ」など8県の10行事からなる「来訪神:仮面・仮装の神々」が審査され、無形文化遺産の登録可否が決まる。

 ナマハゲ、トシドン、ボゼ、カセドリ――。不思議な名前で呼ばれる異形の神々が集落を訪れる伝統行事だが、本能的に恐怖感を抱くような恐ろしい姿の一方で、独特な愛嬌ものぞかせる。彼らの持つなんとも言えない魅力を紹介したい。

「来訪神」とは一体何か

 ドンドンドン。

「おるか、おるか。はよう(扉を)開けんか」「名前は?」

「ちゃんと『です』と言わんか!」

 毎年大みそかに各家庭を訪れ、子どもたちを恐怖に陥れる来訪神「トシドン」(鹿児島・薩摩川内市)。藁やソテツでつくった蓑を着て、目のつり上がった仮面からは長い鼻が突き出ている。シュロの木の皮でつくった荒々しい髪の毛も独特の不気味さがあり、見たとたんに体がこわばり、泣きだす子もいる。

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