11月14日の閣議後、声明を発表するメイ英首相 (C)EPA=時事

 

 11月14日、テリーザ・メイ英首相は、イギリスのEU(欧州連合)離脱(BREXIT)の合意案を閣僚会議で承認した。これは世界に驚きと歓迎をもって伝えられた。BREXITに関する技術的な合意を実現したことが明らかとなったからである。ただし、合意案に反対したドミニク・ラーブEU離脱担当相、エスター・マクベイ労働・年金相らが相次いで辞任。さらに政府・与党の要職ポストにある人物らも続けて辞任するなど、政権に揺らぎが起きている。場合によっては、12月に予定される英議会で承認をはかる前にメイ首相の不信任案が提出されるのではとの観測もあり、本人も「自分が辞任しても事態は好転しない」と反論に躍起である。

 昨年12月、イギリスのEU離脱交渉の第1段階から第2段階である通商条件をめぐる交渉に入るための合意が行われたが、その後事態はこう着状態を繰り返し、来年3月29日までに英国とEU間での合意が実現しなければ「合意なき離脱」という混乱状態は避けられない、と見られていた。

 先月のEU首脳会議でもメイ首相の提案は全く相手にされず、11月の首脳会議は開催されないといううわさまで流れていた。

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