「韓流ブ―ム」に沸く台北市で支持を訴える蔡総統(C)時事通信

 

 台湾の統一地方選の投開票が今月24日に迫っているなか、蔡英文総統が率いる与党民進党は、予想外の苦戦に追い込まれている。

 この統一地方選が重要なのは、その結果が複合的に2020年の次期総統選を動かしていくことになるからだ。民進党がこの敗北を「小さな負け」で留めるか、あるいは「大きな負け」にしてしまうかで、今後の台湾政治の展望が大きく変わってくる。しかし、状況はまさに崖っぷちだ。

 米中対立が深まるなか、米国や日本との協力を重視する民進党の退潮が明確になることは、中国にとっては朗報。選挙の結果次第では、中国と距離を置く民進党の路線が後退し、中国の台湾統一工作に勢いがつく可能性も出てくる。

波紋が広がった「金馬奨」授賞式

 先週の土曜日(17日)、台湾のアカデミー賞にあたる「金馬奨」の授賞式が開催された。最優秀ドキュメンタリー賞を受賞した台湾の監督が「台湾が独立した個体として認められるようになることを願っています」と語ったことで、チャン・イーモウやコン・リーなどの著名映画人を含む中国からの参加者が反発し、台湾のことを「中国台湾」などと呼んだり、台上に登ることを拒否して対抗。彼らは夜の歓迎パーティーにも集団欠席し、波紋が広がるとともに台湾世論で中国への反感を呼んだ。

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