思い思いに道を行く「ASEAN」加盟10カ国の首脳陣(シンガポール外務省HPより)

 

 11月17・18日にパプアニューギニアの首都ポートモレスビーで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議は、開催地の歴史に誘われたのか、米中両国が激突し、「覇権争奪の場」となってしまった。

南太平洋の要衝で起きた米中激突

 太平洋戦争時、ポートモレスビーを巡って日米両軍は死闘を繰り広げた。南太平洋の要衝である同地を制圧すれば、日本軍は南太平洋方面における米豪両軍を牽制できる。一方、アメリカ軍にとっては一帯の島々に展開する日本軍の死命を握り、南太平洋全域の制空権・制海権を押さえ、日本本土に向けての進撃が可能となる。

 結果、アメリカがポートモレスビーを押さえ、大東亜共栄圏という日本を軸とするアジア新秩序構築の試みに大打撃を与えた。そしていま、同じポートモレスビーで、日米が戦った当時には地上には存在していなかった中国(中華人民共和国)と激しく対峙している。

 毛沢東は1958年に大躍進政策を強行した際、「超英趕美(経済力世界第2位のイギリスを追い越し、世界最強のアメリカに追いつく)」のスローガンを打ち出して国民を鼓舞した。その中には、少年時代の習近平国家主席もいたはずだ。

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