東南アジア「米中」覇権争いで想起すべき「日米の歴史」と「悲哀」

思い思いに道を行く「ASEAN」加盟10カ国の首脳陣(シンガポール外務省HPより)

 

 11月17・18日にパプアニューギニアの首都ポートモレスビーで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議は、開催地の歴史に誘われたのか、米中両国が激突し、「覇権争奪の場」となってしまった。

南太平洋の要衝で起きた米中激突

 太平洋戦争時、ポートモレスビーを巡って日米両軍は死闘を繰り広げた。南太平洋の要衝である同地を制圧すれば、日本軍は南太平洋方面における米豪両軍を牽制できる。一方、アメリカ軍にとっては一帯の島々に展開する日本軍の死命を握り、南太平洋全域の制空権・制海権を押さえ、日本本土に向けての進撃が可能となる。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫(ひいずみかつお) 愛知県立大学名誉教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年から2017年4月まで愛知大学教授。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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