いまだ混沌としている「メルケル後」(C)AFP=時事

 

 12月7日から2日間にわたり行われるキリスト教民主同盟(CDU)党首選は、10月29日、アンゲラ・メルケル党首が出馬を断念したことにより、事実上、アンネーグレット・クランプ=カレンバウアー幹事長、イェンス・シュパーン保健相、フリードリッヒ・メルツ元議員団長の3人で争われることになった。

 この3人のうちだれが党首に選出されるかは、CDUのみならず、今後のドイツとヨーロッパの行方を左右する。

「過去の人」が再登場

 今回の一連の動きでとりわけ注目されるのが、メルツ氏が突如として現れ、しかもメルケル首相が出馬断念を表明した後、間髪を入れず同氏が出馬を明らかにしたことだ。バイエルン州とヘッセン州でキリスト教社会同盟(CSU)とCDUが大敗するだろうことは早くから予想されていた。政治の流れを嗅ぎ取ることにかけては人一倍鋭い嗅覚を発揮する政治のプロが、バイエルンとヘッセン後を考えていなかったわけがない。実にドイツ政界では、この日に備え、メルツ氏を中心にしたメルケル後に向けての動きが密かに進行していたことになる。

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