日本を含む先進諸国は認めていないが、先の大統領選結果で来年1月には2期目に入るベネズエラのマドゥロ大統領

 

 極右候補が勝利した10月のブラジルの大統領選挙結果に見られたように、中南米地域全体で左派勢力が大幅に後退し、危機が深刻化するベネズエラやニカラグアの反米政権はもとより、安定を維持してきたボリビアの左派政権にも孤立感が深まりつつある。

 だが、左派が退潮し、総じて保守化が進み、親米政権が多数を占めるに至ったものの、課題の解決に向けて強い指導力を発揮する国や指導者の不在が特徴的で、課題は漂流し、深刻度を増している。

 300万人を超す難民が流出しているベネズエラ危機や、隣国コスタリカに大量の難民を出しているニカラグア危機、またホンジュラスなどの中米諸国から米国入国を目指して北上する1万人とも推測される「キャラバン」など、地域が抱える喫緊の危機と課題に全く対処できない状況が続いている。

退潮する左派勢力

 左派政権の退潮は、2014年以降の資源価格の急落に伴う「資源ブーム」の終焉を背景に、左派勢力を代表する指導者の死去や政権の失政が招いたものだ。

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