どことなく習近平主席の表情にも余裕があるような(C)AFP=時事

 

 米中の「覇権」をめぐる攻防は、アルゼンチンで11月30日と12月1日に行われる20カ国・地域(G20)首脳会議の際に予定される米中首脳会談で、一時的に緩和されるとの楽観的な見方も出ている。

 しかし、5G(第5世代移動通信システム)の覇権争いで中国がリードするなど、米国の軍事面での対中懸念は与野党を問わず裾野が広がっており、長期戦となる様相だ。

 首脳会談を直前にし、中国は国営「新華社通信」を通じ、航空母艦3隻目の建造をわざわざ公式に表明したほか、香港英字紙も、中国軍が軍事基地を急ピッチで進める南シナ海で、次世代の無人潜水艦基地の建設を伝えるなど、習近平政権による対米けん制の姿勢はますます顕著になっている。

 とりわけ、米国の影響力を南シナ海から駆逐しようとする動きは鮮明で、中国はフィリピンに対し、南シナ海での石油・ガスなどの「共同開発」で合意させたほか、習近平政権の経済圏構想「一帯一路」戦略を拡大し、東南アジアや南太平洋各国を経済外交で取り込む動きを強化しようとしている。

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