中国が誇る初の国産空母「遼寧」(C)AFP=時事

 

「力がつけば戦争せずとも相手は屈服する」。

 この言葉は、リーマンショックを経て中国で大国意識が高まって以降、現地の官僚や研究者が頻繁に筆者に突き付けてきた言葉だ。

 こうした思考には、「孫子の兵法」(謀攻篇)が背景にある。同法にはほかにも、「百戦百勝は善の善なる者に非ざるなり。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり」「用兵の法は、十なれば、則ち之を囲み、五なれば、則ち之を攻め、倍すれば、則ち之を分かち、敵すれば、則ち能く之と戦い、少なければ、則ち能く之を逃れ、若かざれば、則ち能く之を避く」とある。

 後者は、自軍の兵力が圧倒的に優勢ならば包囲し、かなり優勢なら正面から攻め、優勢なら敵を二分して各個撃破せよ、敵と兵力拮抗なら全力を挙げて戦い、劣勢なら遊撃戦で戦い、完全に劣勢と分かったら衝突を避けよ――という意味だ。

 南シナ海や東シナ海での中国の行動を分析すると、まさにこの「孫氏の兵法」が原理となっていると思われる。

 中国が、自身の優勢を誇示する材料の1つが、建造中の航空母艦である。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。