『聨合早報』は台湾統一地方選を一面で報じた(筆者提供)

 

 11月24日に台湾で実施された「九合一」と呼ばれる統一地方選挙は、与党・民進党の歴史的大敗、野党・国民党の大躍進という結果で終わった。さらに香港では翌25日、議会に当たる立法会の補欠選挙が実施され、親中派候補が民主派候補を破って当選している。中国にとっては“理想的”に終わったとも言える両選挙を、はたして東南アジア華人社会はどのように受け止めたのか。

 東南アジア最有力華字紙のシンガポール『聨合早報』の紙面を追ってみた。

台湾社会の3大変化

 選挙翌日、同紙は1面で「民進党、壊滅的敗北 国民党、15県市で大勝利」と大見出しを掲げ、「民進党の敗北は蔡英文政権の失政、わけても国軍年金制度と労働時間制限など一連の改革に対する有権者の不満によってもたらされた」と、特派員による現地からの分析を伝えた。因みに同紙は事前に「蔡英文政権の力不足、民進党多くの選挙区で苦戦」と報じている。

 25~27日には研究者や評論家の論文が多く掲載されているが、冷静に総括的な分析をみせた国立シンガポール大学東南アジア研究所の祁冬濤(チ・トンタオ)研究員の「緑地が藍天に変わった。原因と影響」に注目したい。

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