G20会場でのプーチン大統領(左奥)とトランプ大統領(右手前)。視線は交わしたが会談は行われなかった (C)AFP=時事

 

 アルゼンチン・ブエノスアイレスでの主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で、ドナルド・トランプ米大統領は黒海とアゾフ海を結ぶケルチ海峡でのロシアの武力行使を非難し、ウラジーミル・プーチン露大統領との本格的な首脳会談を中止した。11月のパリでの会談に続くキャンセルで、次回会談のメドは立っていない。中間選挙で下院を制した米民主党は新たな対露経済制裁を準備中だ。プーチン政権は米国に対抗するかのように対外冒険主義を強化しており、米露関係はさらに悪化しよう。北方領土問題で「2島プラスアルファ」に転じた安倍晋三首相の対露融和外交は、米露対立の打撃をもろに受ける恐れがある。

NATOの黒海展開が焦点

 ロシアは今年夏、併合したクリミアと本土を結ぶ大橋を完成させて以降、橋の下を通過する船舶の監視を強めていたが、ロシア警備艇は11月25日、ウクライナの艦船に突然発砲し、3隻と乗組員を拿捕した。ロシア側はウクライナ側の領海侵犯があったとし、「ウクライナの挑発行為」を非難した。これに対し、日本を含む主要7カ国(G7)外相はロシアの行動に「極度の懸念」を表明。「G7はロシアによる違法なクリミア半島の併合を決して承認しない」と改めて強調した。

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