敗れはしたものの旋風を巻き起こしたベト・オルーク氏は民主党の星となるか(C)EPA=時事

 

 読者のみなさんは、アメリカの南部地域というと、どのようなイメージを持っておられるだろうか。『風と共に去りぬ』に描かれたような、南北戦争など、古い南部の歴史を思い浮かべる人もいるだろう。あるいは、「南部諸州は共和党の強固な支持基盤でしょう」という方々も多いかもしれない。

 2018年の中間選挙を見ていて思ったのは、その南部にいま変化の兆しが見られるのではないか、ということである。

 歴史的に見た場合、南北戦争後の南部諸州は「団結する南部」(Solid South)と呼ばれており、もともとは民主党の強力な政治的地盤だった。だが、20世紀半ば以降、民主党が黒人公民権の問題に積極的に取り組むようになったため、それを嫌う保守的な南部の白人は民主党を離れ、徐々に共和党へと支持を移していった。

 1964年に共和党の大統領候補に指名されたバリー・ゴールドウォーターは保守的な争点を掲げて選挙にのぞみ、大敗を喫する。だが、「虎は死して皮を留め、人は死して名を残す」のことわざのように、ゴールドウォーターは敗北しつつも、南部諸州を完全に共和党支持に振り向けることに成功した。これ以降、今日に至るまで、南部は基本的に共和党の支持基盤であり続けている。

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