マクロン大統領「テレビ演説」は国民に通じたか

執筆者:渡邊啓貴2018年12月13日
黄色いベストを着たまま食い入るようにマクロン大統領の発言に聞き入る市民ら(C)AFP=時事

 

 12月10日夜、エマニュエル・マクロン大統領は前週末に予告したとおり、テレビで国民に向けた演説を行った。12月1日の抗議デモが暴徒化した直後から沈黙を守っていたマクロン大統領の、1週間ぶりの発言だった。

 先週末(12月8日)のフランス全国規模の4回目の反政府抗議デモ(黄色いベスト運動)は、当局の治安部隊強化にもかかわらず、依然として勢力を保っていた(11月17日:参加者28万2000人、死者1人、負傷者409人、73人拘束。11月24日:参加者16万6000人、負傷者84人、307人拘束。12月1日:参加者13万6000人、負傷者263人、630人拘束。12月8日:参加者12万5000人、負傷者118人、1220人拘束)。

 治安当局は治安部隊の数を全国で8万9000人まで増強し、パリだけでも8000人以上と前回の倍にして事前に威圧した。

 そのうえで、大統領府は12月8日のデモの直前、マクロン大統領が発言することを予告していた。

 マクロン大統領は、黄色いベストの抗議活動が始まった当初は事態をそれほど重視していない発言があったが、その後は沈黙に終始し、もっぱらエドゥアール・フィリップ首相やクリストフ・カスタネール内務大臣が事態の収束に動いていた。だが、事態の深刻化についに大統領の発言が不可避となっていた。

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