「大阪市中央公会堂」の中集会室。装飾や材料についての説明板が各所に立つ 撮影:長井美暁
 

 「イケフェス大阪」という建物公開イベントをご存知だろうか。正式名称は「生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪」という。毎年秋の週末に大阪市内の様々な建物が一斉に公開され、誰でも内部を見学できる。2014年に始まったイベントだ。

 生きた建築? と不思議に思うかもしれないが、この言葉がイベントの趣旨を端的に表している。公開されるのは歴史的な建物からオフィスビル、有名建築家の名作、街場のレストランやバーまで幅広い。共通するのが、趣旨文にもあるように「大阪の歴史や文化、市民の暮らしぶりといった都市の営みを伝え、今も生き生きとその魅力を物語る」という点だ。「文化財としての建築とは異なる、建築の新しい価値を発信」することで、建築に関心を持つ人の裾野を広げる狙いがある。

 イベント名称に「ミュージアム」と入るのは、大阪のまちを1つの大きなミュージアムと捉えるという大阪市の「生きた建築ミュージアム事業」を発端とするからだ。2016年以降は実行委員会方式で開催している。

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