ソウル市役所の壁面に大きく掲げられた、白頭山で手を握り合う文在寅大統領と金正恩党委員長の写真。「韓半島の運命を変えた南北首脳会談 ソウル市もともに」の文字も(筆者撮影)

 

 ソウルは12月8日に最低気温がマイナス10度を下回る寒さとなったが、韓国では金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長のソウル訪問をめぐる賛否が過熱している。

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領と金正恩党委員長は9月の首脳会談で、金党委員長の早期ソウル訪問で合意した。合意文書の「9月平壌共同宣言」には「早期訪問」としか書かれなかったが、文大統領は「ソウル訪問は特別な事情がなければ年内に行われる」と述べた。

 日曜日だった11月18日、ソウルの中心街、光化門で「白頭称頌委員会」という団体が、金党委員長のソウル訪問を歓迎する集会を開いた。保守有力紙『朝鮮日報』の金大中(キム・デジュン)顧問は11月25日のコラムで、「かくも公々然と、『潔く』金正恩を称賛する行事は初めてだろう」とし、「長生きすると変わったことを経験する」と嘆いた。

 筆者も10月中旬にソウルを訪問する機会があったが、光化門のソウル市役所の建物の壁に、南北首脳夫妻が白頭山に登って手を握り合う巨大な掲示物が掛けられ、そこに「韓半島の運命を変えた南北首脳会談 ソウル市もともに」と書き込まれていたのには驚いた。韓国にはまだ国家保安法もあるのだが、北朝鮮をめぐる雰囲気が大きく変わっていると実感した。

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