12月5日、衆院厚生労働委員会で水道法改正案が可決した (C)時事

 

 12月6日、改正水道法が衆議院本会議で自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。

 改正の最大のポイントは、「水道事業の民間運営」の導入を可能にした点にある。しかし、水道事業の民間運営には、様々な問題が潜んでいる。今、最大の生活インフラである水道は、大きな変革期を迎えようとしている。

設備は「官」運営は「民」

 多くのメディアは今回の水道法の改正を「水道事業の民営化」と報道している。しかし正確を期するならば、同法の改正は水道事業の民営化そのものではない。

 民営化とは、設備、土地を含め事業全体を民間企業に転身させることだが、今回の改正では、水道管などの所有権を移転することなく、水道事業の運営のみを民間企業に任せる「コンセッション方式」が導入されている。

 背景には、日本の水道事業の採算悪化がある。厚生労働省によると、人口減少などにより水道水の需要が減少しているため、料金収入は2001年度の2兆5463億円をピークに減少が続いている。さらに、50年後の需要水量は2000年度に比べて約4割減る見通しだ。

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