米国のマティス国防長官が12月20日に、2月末での辞任を表明した。マティス更迭が近いという観測は中間選挙前から流れていたが、職を辞するに至った決定的な契機は、前日トランプ大統領自身が発表した、政権内部や軍幹部の意向、同盟国の反対を押し切って急激なシリア撤退を決めたことにあるようだ。

国防総省が発表したマティスの辞任表明の声明文を『日本経済新聞』の全訳から見てみよう。次のように、マティスは自らを辞任に導いたトランプとの決定的な相違を「同盟国への敬意」の有無とする。

「同盟国に敬意を払い、悪意に満ちた者や戦略的な競争相手に注意を払うべきだという私の考えは、こうした問題に取り組んだ私の40年以上(の経験)に基づき、培われたものです。我々の安全保障や繁栄、価値観に最も資する国際秩序を推進するためにできることは全てやるべきです。我々は同盟という結束によって強くなるのです。

あなたは、これらの点について、あなたの考えにより近い人物を国防長官に据える権利があります。だから私は身を引く時だと考えています。」

シリアからの急激な全面撤退は、対「イスラーム国」作戦で米国と同盟して地上で前線に立ってきたシリアのクルド系組織を見捨てることになり、シリアのクルド系勢力を敵視するトルコによるシリア・ユーフラテス川東岸への侵攻の可能性を高める。

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