走り続けて8万キロ。ついにデナリが姿を現した

 

 長野ナンバーの「ホンダ」の左向こうにドデカく白い山が見える。だが、槍ヶ岳でも穂高岳でも、もちろん富士山でもない。

 ここはアラスカ。あれはかつて「マッキンリー」と呼ばれていた標高6000メートル超の北米最高峰、デナリだ。冒険家の植村直己氏が姿を消した山、と言った方がピンとくるだろうか。

 このライダーは小林剛さん(47)。写真を撮影したパートナーの二俣明日香さん(31)と「バイクで世界1周」に挑んでいる。2017年5月から2018年7月にかけてユーラシア大陸横断と南北アメリカ大陸縦断を達成し、さらに北アメリカ大陸最西端を目指してアラスカに足を延ばした。長野は小林さんの地元である。

 彼が言う。

「若い頃から植村さんに憧れていた身としては1度でいいからこの目で見てみたかったのです。ただ、なかなか見えないことで知られるデナリ。アラスカは天候が不安定で、7~8月は1カ月に2~3日しか晴れません。こんな風にはっきりと姿を拝めたのは、本当にラッキーでした。今までいろんな山を見てきたけれど、デナリはスゴい。ある意味で“世界一高い山”ですからね」

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