「政変の歴史」から見通す年明け「タイ総選挙」
2018年12月27日
12月11日、タイ政府は明年2月24日に総選挙を実施すると発表し、それに伴い、「2014年クーデター」を機に禁止されていた政党活動の解禁を明らかにした。1月2日の国王の裁可を受けて正式に選挙運動が開始となるが、すでに各政党は走りだしている。
総選挙を前に100超を数える政党が名乗りを上げているが、プラユット・チャンオチャ暫定首相支持を打ち出し、9月に結党された新党「国民国家の力党」、1946年から現在まで続く唯一の老舗政党である「民主党」、それにタクシン派の「タイ貢献党」の3大政党を軸にして選挙戦が展開される、というのが大方の共通した見方と言える。
かくして、きたるべき総選挙の争点は軍政の延長か、民主派勢力の伸長か、タクシン派の復権か――などといった予測が聞かれる。
だが、この種の見方ではタイの政治文化の本質を捉えることはできそうにない。
“既視感”に溢れた政治状況
それというのも、タイで繰り返されてきた「クーデター⇒政党活動禁止⇒政党活動解禁⇒総選挙⇒民政移管⇒国軍主体の政権発足」という政治過程から考えると、昨今の動きは決して珍しいことではなく、これまでも多く見られたからである。
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