ヨーロッパに広がる「政治の劣化」で失う「利害調整機能」
2018年12月27日

頭の痛い問題を抱えている2人。この先どうなることやら……(C)EPA=時事
2018年も暮れようとしている。「政治」というキーワードで振り返ってみれば、今年は激動の年だった。それはなかんずく、ヨーロッパで著しい。
フランスでは、「黄色いベスト運動」が収まる気配を見せず、この後どう展開していくのか定かでない。イギリスはBREXIT(EU=欧州連合=離脱)に向け国内世論が紛糾し、EUとの間で折り合った離脱案でまとまるのか、あるいは「合意なき離脱」という最悪のシナリオに突き進むのか、状況は依然不透明である。
ドイツでは、アンゲラ・メルケル首相が最大政党、キリスト教民主同盟(CDU)党首の座を降り、アンネーグレット・クランプ=カレンバウアー氏が新党首に選出された。新党首はいずれメルケル首相の後を継ぎ、ドイツの首相になると見られている。これで、昨年の総選挙以来続いたドイツ政治の混迷も一応は終止符を打ち、今後、ドイツ政治はクランプ=カレンバウアー新党首を軸に展開していくものと思われる。しかし、新党首の政治基盤は未だ脆弱である。2019年は大きな波乱が予想される。混乱は一時的に収まったように見えるものの、単に先送りしただけである。しかもドイツ政治は、後述するように構造的な問題を抱える。
記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。