電撃的なイラク訪問も波紋を呼んだが(C)AFP=時事

 

【ワシントン発】 ドナルド・トランプ大統領のシリア駐留米軍の完全撤退決定とアフガニスタン駐留米軍の半数の撤退方針を覆す説得ができなかったジェイムズ・マティス国防長官が、トランプ大統領に抗議するかたちで年内に退任することになった。国際協調主義、同盟重視の立場からトランプ大統領に対して進言できる「最後の大人(the last grown-up)」であったマティス氏が政権を去ることで、2017年1月のトランプ政権発足直後から政権の中枢ポストで同政権の外交・安全保障政策を支えてきた主要閣僚・ホワイトハウス高官のほとんどが姿を消すこととなる(2018年12月27日「『衝動』で突き動かされる『トランプ大統領』」参照)。

 

 また、マティス氏の辞任は「イスラーム国」(IS)掃討作戦などの対テロ対策、対中東政策を巡り、トランプ大統領と議会共和党との亀裂をもたらしている。上院共和党指導部を率いているミッチ・マコネル院内総務(ケンタッキー州選出)は、同盟重視姿勢を明確にしてきたマティス氏が政権を離れることについて、「2大政党の指導者らにより慎重に構築されてきた第2次世界大戦後の同盟関係を米国が維持、強化することは不可欠である」として、「米国第一主義(America First)」に傾斜するトランプ大統領に警鐘を鳴らしている。マコネル氏はトランプ大統領に対して異議を唱えることなく従順に対応してきたことを考慮すると、こうした声明は極めて異例の内容である。

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