「忘れられる権利」に弱い「日本」闘う「欧米」違いの本質
2019年1月10日
自分の名前をインターネットで検索すると、過去の不名誉なニュース記事がいつも上位に表示される。ネットが普及していなかったほんの25年前なら、いつしか忘れられたのに――。
いわゆる「忘れられる権利」とは、ネットで名前を検索したとき、古い不名誉情報を検索結果に出させない権利である。世界の注目を集めたのは、2014年5月、欧州司法裁判所の判断だった。
始まりは「ゴンザレスの申し立て」
スペインの新聞『ラ・ヴァンガルディア』のネット版に残されている1998年の競売公告は、社会保険関係の官庁がマリオ・コステハ・ゴンザレスと当時の妻の共有不動産の競売について知らせていた。ゴンザレスは、自分の名を「グーグル」で検索すると、いつまでもこの競売の記事が出てくることにたまりかねていた。競売の原因となった債務問題はとっくに解決しているのだ。
ゴンザレスの申し立てを受けたスペインのデータ保護庁はグーグルに対し、ゴンザレスの名前で検索してもこの記事が出ないよう、措置を命じた。これを不服としたグーグルが、最終的には欧州司法裁判所まで持ち込み争ったのだが、欧州司法裁はスペイン当局による措置命令を支持した。スペインの1人の男がネット界の巨人を倒すという、とんでもない事態が起こったのである。検索結果を表示させない効力は欧州内に限るとはいえ、「忘れられる権利」は世界的な話題となり、グーグルには検索結果除外の要請が各国で相次いだ。
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