今となっては「近い関係」ではあるが、政府の支援で成長したわけではない(右が任正非氏)(C)AFP=時事

 

 米中経済戦争の“最激戦地”は、昨年中盤あたりから、中国の通信機器メーカー「華為技術(ファーウェイ)」に絞られてきたと言っても過言ではない。

 国際問題で一企業がこれほどやり玉に挙げられ、主要国から製品排除の制裁を受けたケースは世界にほとんど前例がない。しかも、制裁の根拠となる明確な物証は、制裁を主導した米国からも追随した主要国からも提示されていない。少なくとも報道されていない。

 この件におけるファーウェイに関する報道や論評の大半は、同社が中国政府・共産党の支援を受けている企業との認識が前提となっている。だが、現実には同社は、国有企業優先の中国でむしろ疎外されてきた民間企業の代表と言っていい。

 中国でこの1~2年に起きている深刻な問題は、ファーウェイを筆頭に「阿里巴巴集団(アリババ・グループ)」、「腾讯(テンセント)」など、「力を持ちすぎた民間企業」に対する共産党の抑圧と支配への試みである。トランプ政権が本来問題視していた「中国政府の国有企業支援」、「官民一体の産業政策」を叩くのであれば、ファーウェイ攻撃は的外れと言わざるを得ない。

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