昨年7月、漁郎川水力発電所建設を現地指導する金正恩党委員長(左端)。経済建設の中でも最優先は電力だ[KCNA VIA KNS](C)AFP=時事

 

 一方、「新年の辞」で毎年、最も多くの分量を割いているのは経済問題であり、それは今年も同じだった。

 北朝鮮は昨年4月の朝鮮労働党中央委員会第7期第3回総会で「経済建設」と「核開発」を同時に進める「並進路線」を終了し、経済建設に専念すると決定した。この方針を受けて発表された今年の「新年の辞」の枠組みは、今年は「経済建設」と「平和」の並進路線を進めるということであるようだ。平和の基軸は南北対話と米朝交渉だ。

 昨年の「新年の辞」では、「核」という言葉が22回使われたが、今年は2回だけだ。さらに「平和」は、昨年は10回だったが、今年は25回と大幅に増えた。「経済」は、昨年は21回だったが、今年は38回に増えた。「経済建設」は、昨年は1回だったが、今年は8回も使っている。

 こうしたことからもわかるように、今年の「新年の辞」は経済重視の方向性は明確だ。経済制裁下で自力更生路線を強化しながら経済建設に努力し、制裁を解除・緩和する外交、対話に精力をつぎ込むというのが今年の姿勢であろう。

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