1月11日に開かれた自民党の外交部会・外交調査会合同会議では、韓国に対して「大使召還」や「経済制裁」といった強硬意見も飛び出したが…… (C)時事

 

 日韓の軍事的摩擦は真に憂うべき事案である。非難合戦(以下「喧嘩」と言う)に発展した本事案は、音声と画像の証拠を突き付け「落とし前をつけろ」と「啖呵」が切られた形である。

 本来、レーダー照射などの事案が発生するとリアルタイムで危険報告と抗議が行われる。だが今回は、韓国は、日本がクレームを発すると否定し、日本が「証拠映像」を公開するや即座に海上自衛隊(以下「海自」)の哨戒機が危険な接近飛行を行ったと日本側公開の映像を逆に「証拠映像」だと開示し、日本の非を主張した。

 しかし、動画の提示を伴うそれぞれの言い分は、双方「深層が見えない状況証拠」であって、事案の内容から推して確証に乏しい。このまま進むと、双方が軍事上の重要な保全を無視してまで「証拠争い」を繰り広げる愚に陥りかねない。

シビリアン・コントロールを活かせ

 レーダー電波や通信波は常に発信されているから、秘匿されていても逆探知によって周波数など諸元の掌握は容易だ。火器管制用の電波は、通常、射撃時に限り発信されるから諸元が求め難い。従って、狙われた側は、感知すると即座に諸元を把握して対抗しなければならないから、前もって情報収集して優勢な立場を築こうとする。今回のように、異常な信号を受ければ、それが脅威情報の1つとして分析、蓄積され、被攻撃時の防御に応用される。他方で、逆探知されないよう我が方が発する重要電波の保全が最高度に行われる。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。