1月中旬、インラック前首相のFacebookにアップされた「逃亡先」での兄との2ショット

 

 インラック・シナワット前首相は、2017年8月から国外に逃亡したままである。首相在任時(2011~14年)に農民向けに実施した目玉政策の「コメの買い取り」が国家に多大な損失を与えたとの理由から、プラユット・チャンオチャ暫定政権によって起訴され、最高裁判所で判決が下されることになっていた直前での逃亡だった。

 以来、英ロンドン郊外のショッピングモールで買い物姿をカメラに収められたり、シンガポールで屋台の「タクシンそば屋」を覗き、周囲に愛嬌を振りまいたり、シナワット(丘)家のルーツである中国広東省梅州に里帰りして祖先の墓参りをしたかと思えば、北京の街を散策したり、時に日本に滞在したりと、動静が伝えられてきた。

 時折、実兄のタクシン・シナワット元首相と行動を共にしている姿が報じられることもあったが、その“亡命生活”の実態は謎に包まれていた。

 一方、タイ国内に目を向ければ、2014年のクーデター以来、4年半以上も続く暫定政権の強権ぶりにウンザリ気味の情勢からして、彼女の政治生命が完全に絶たれたというわけでもなく、その帰国・政界復帰を待望する声も聞かれる。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。