中国が世界に広める「インターネット統治権」とは?
2019年1月18日

昨年3月から政府公認の「VPN」しか使用できなくなった(C)AFP=時事
「これは中国が関与している」
2018年末、日本を訪れていた海外のサイバーセキュリティ専門家は、そう言って私にある画像を見せてくれた。画像は、世界最大手ホテルチェーン・米「マリオット・インターナショナル」の顧客データが、12月16日に売りに出されたことを示すものだった。
狙われるべくして狙われたマリオット
マリオットが顧客データの流出を公表したのは、昨年11月のことだ。日本でも大きなニュースになったが、最大で3億8000万人分の個人情報が流出し、大量のパスポート番号なども盗まれたという。社員のパソコンにマルウェアが仕掛けられたことで盗み出されたこうした個人情報が、ダーク(闇)ウェブのロシア人掲示板で売られていたと、この専門家は説明した。
米政府も中国人ハッカーの仕業との見解を示しているが、実のところ、マリオットは狙われるべくして狙われたとする向きもある。
2018年1月、中国政府はマリオットの公式サイトと予約専用アプリへの国内からのアクセスを突然、遮断した。その理由は、同ホテルが顧客へのオンラインアンケートの中で、香港やチベットを国家として扱っていたからだ。
記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。