習主席は1月2日にも「台湾統一」を謳う演説を行った(C)EPA=時事

 

 過去1年の中国を振り返れば、世界の人々の眼には暴れる巨竜と映ったかもしれない。

 アメリカとの貿易戦争はもとより、年末に中国通信機器メーカー「華為技術」(ファーウェイ)の孟晩舟CFO(最高財務責任者)がカナダで逮捕されたのを受け、中国当局は、少なくとも13人のカナダ人を拘束したと言われている。中国共産党が描く中国の自画像は、間違いなくウルトラマンのような超人である。それに対して、外国人には暴れる巨竜としかみえず、グローバルリスクの筆頭になっている。

選挙の代わりに経済で正当性を立証

 中国共産党が自国について語るとき、「中国の特色」という表現を好んで使う。たとえば、中国の体制は「中国の特色のある社会主義市場経済」と表現されている。

 しかし、「中国の特色」の定義が明らかにされていないところに問題がある。共産党の種々の文書を読み解いていくと、いかなることがあっても絶対に共産党の指導体制を堅持する、ということが「中国の特色」であると透けてみえてくる。

 習近平政権で始まった反腐敗闘争、「一帯一路」プロジェクト、「中国製造2025」などの取り組みは、いずれも自らの権力基盤を固めるための措置だった。習主席は名実ともに「紅二代」、すなわち太子党である。太子党の使命は親の世代から継承した権力基盤を失わずに、しっかりと次の世代に継ぐことである。

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