カナダの先住民族の文化習俗を伝えるアルバータ州の博物館展示

 

「エネルギー移行(energy transition)」が議論されるようになって数年が経つ。

 日本エネルギー経済研究所の小山堅常務理事は、2014年末の原油価格大暴落が始まる直前のレポート(「油価低下、ウクライナ危機、Energy Transition等を巡る議論」『IEEJ』2014年11月号所収)の中で、2014年秋に欧州で議論されているEnergy Transitionとは「現行のエネルギー供給体制から、再生可能エネルギー(以下、再生エネルギー)の拡大等を通しての低炭素でエネルギー安全保障面でも強靭なエネルギー供給構造への移行」だとしている。

 その後の展開は、2015年12月の「パリ協定」締結に見られるように、「低炭素エネルギー」供給への移行の動きが、各国の補助政策も奏功し、間違いなく加速している。

「エネルギー移行」という言葉が日本で語られるようになると、これは「低炭素エネルギー」、すなわち「再生エネルギー」に移行することだ、すべてのエネルギーは「再生エネルギー」で供給可能なのだ、とする「盲信」すら現れるようになった。電源燃料だけ取っても、すべてを再生エネルギーで供給することは無理なのに、なぜ――と筆者は、まだまだ情報発信、啓蒙についての自らの努力が足りないな、とため息をついている。

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