もはや歩み寄りは難しい(C)AFP=時事

 

 インドが隣国パキスタンと領有権を争うカシミール地方の「インド側」、ジャンムー・カシミール(J&K)州の治安が悪化の一途をたどっている。

 2010年以降、市民のデモや蜂起が相次ぎ、治安部隊が強硬姿勢で鎮圧に臨んでいるため、新たな抗議行動や独立を叫ぶ過激派のテロなどの連鎖が起きている。爆破や銃撃などの容疑者は、かつてはパキスタンからの越境テロリストが中心だったが、最近はカシミール住民の若者らがゲリラに身を投じるケースが増加。これにシンパシーを持つ一般市民が協力者となって、テロリストをかくまう実態も指摘されている。

 カシミール情勢の動向は、インド国内に暮らす2億人近くのイスラーム教徒の政治意識に影響を与え、いよいよ今春に迫った総選挙の行方をも左右しかねない。

一般市民の犠牲者は約1.5倍

 白昼の市街地。盾を構えて対峙する警官隊に向かって次々と投石する群集――。現地発の動画ニュースが、先鋭化したカシミール住民の抗議デモの様子を鮮烈に伝える。

 市民側の多くが、ハッカー集団「アノニマス」で知られるガイ・フォークスやガイコツのマスクをかぶっていなければ、パレスチナ・ガザ地区の光景ともはや区別がつかない。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。