「バッド・コップ」と火花が散る――(C)EPA=時事

 

 1月22日、ロシアの首都モスクワで行われた日露首脳会談は、1956年の日ソ共同宣言に基づく平和条約締結に向けて共同作業を進めることや、北方領土の元島民による3回目の航空機での墓参実施を決めたが、重要な進展はなかった。両首脳とも会談後の共同発表では、「領土」という言葉を使わず、返還反対論が深まるロシア社会に配慮していた。

 むしろ、1月14日の外相会談で重大な対立点が浮上した。妥結を急ぐ日本側と、交渉を長期化させたいロシア側の温度差も目立ち、交渉はいばらの道だろう。

「グッド・コップ」と「バッド・コップ」

 14日の外相会談と22日の首脳会談では、ウラジーミル・プーチン大統領がハリウッド映画に出てくる「グッド・コップ(良い警官)」、セルゲイ・ラブロフ外相が「バッド・コップ(悪い警官)」の役回りだった。

 ラブロフ外相は、4島が全面的にロシア領であると認めることが、「交渉を進める上での主要な条件になる」と強調。「北方領土」という言葉をも公式には使用しないよう求めた。引き渡される島についても、米軍のプレゼンスを排除するよう要求した。

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