首脳会談直前「悪役」ラブロフ露外相が仕掛けた「領土の罠」

執筆者:名越健郎 2019年1月25日
エリア: ヨーロッパ アジア
「バッド・コップ」と火花が散る――(C)EPA=時事

 

 1月22日、ロシアの首都モスクワで行われた日露首脳会談は、1956年の日ソ共同宣言に基づく平和条約締結に向けて共同作業を進めることや、北方領土の元島民による3回目の航空機での墓参実施を決めたが、重要な進展はなかった。両首脳とも会談後の共同発表では、「領土」という言葉を使わず、返還反対論が深まるロシア社会に配慮していた。

 むしろ、1月14日の外相会談で重大な対立点が浮上した。妥結を急ぐ日本側と、交渉を長期化させたいロシア側の温度差も目立ち、交渉はいばらの道だろう。

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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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