「暫定」の2文字が取れても「安定」とはいかなそう……(C)EPA=時事

 

 タイでは、最終的に総選挙が3月24日に実施されることが明らかになり、プラユット・チャンオチャ暫定首相の事前運動も一層の熱を帯びてきたようだ。全国各地に出向いて、クーデター以来の暫定政権の成果を説く彼の姿を、タイのメディアは連日伝えている。

 早くも総選挙後を想定しているのだろう。プラユット暫定政権は貧困農民対策、教育改革から「EEC(東部経済回廊)」建設に絡んだ大型インフラ建設――中国との協力による高速鉄道建設やバンコク周辺の3国際空港を結ぶ高速鉄道建設など――野心的で大規模な社会経済建設を次々に打ち出している。

 なかでも1月22日の閣議で積極推進が決定された「SEC(南部経済回廊)」プロジェクトに注目しておきたい。

「クラ地峡運河」建設を彷彿とさせる

大型インフラ・プロジェクトの位置関係(編集部作成)

 SECは、2019年から2022年までの4年間に約1070億バーツ(約3700億円)を投じて鉄道、港湾、空港などを建設し、南タイ中部のラノーン、チュンポン、スラーターニー、ナコンシータマラートの4県に渡る30万平方メートルを総合開発しようという野心的な国家プロジェクトだ。

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