タイ大型インフラ・プロジェクトは「米中対立」新火種か

執筆者:樋泉克夫 2019年1月31日
エリア: アジア
「暫定」の2文字が取れても「安定」とはいかなそう……(C)EPA=時事

 

 タイでは、最終的に総選挙が3月24日に実施されることが明らかになり、プラユット・チャンオチャ暫定首相の事前運動も一層の熱を帯びてきたようだ。全国各地に出向いて、クーデター以来の暫定政権の成果を説く彼の姿を、タイのメディアは連日伝えている。

 早くも総選挙後を想定しているのだろう。プラユット暫定政権は貧困農民対策、教育改革から「EEC(東部経済回廊)」建設に絡んだ大型インフラ建設――中国との協力による高速鉄道建設やバンコク周辺の3国際空港を結ぶ高速鉄道建設など――野心的で大規模な社会経済建設を次々に打ち出している。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫(ひいずみかつお) 愛知県立大学名誉教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年から2017年4月まで愛知大学教授。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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