米露「INF条約破棄」の「なぜ」と「どうなる」(上)
2019年2月12日
2月2日、米国のマイク・ポンペイオ国務長官は、同日付で中距離核戦力(INF)全廃条約の効力停止をロシア側に通告したことを明らかにした。効力停止は即日実施され、ロシア側が条約違反のミサイル配備を撤回しなければ、6カ月後の2019年8月に条約から完全に離脱するとしている。
INF条約は1987年12月に米国とソ連(当時)が署名した核軍縮条約であり、射程500~5500kmのあらゆる地上発射型ミサイル、すなわち短距離弾道ミサイル(SRBM)、準中距離弾道ミサイル(MRBM)、中距離弾道ミサイル(IRBM)、地上発射巡航ミサイル(GLCM)などの開発・生産・配備を全面的に禁止している。
「核戦力」と銘打たれてはいるが、弾頭が核であるか否かにかかわらず、当該射程のあらゆる地上発射型ミサイルすべてが対象となる。
真っ向から食い違う主張
ところがポンペイオ国務長官が述べている通り、ロシアはINF条約に違反する射程のミサイルを開発し、すでに実戦配備を開始していると見られる。問題のミサイルは「9M729」と呼ばれるGLCMで、これが500kmを大幅に超える射程を有しているというのが米国の主張だ。
記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。