いよいよアメリカも石油「輸出大国」に(「FT」の当該ページより)

 

 未来のエネルギーとして「水素」を語るとき、往々にして欠落している視点は、作り上げるまでに長い時間と巨額の資金を要する輸送インフラの問題だ。「天然ガス」の実情を考えてみるといいかもしれない。「水素」も「天然ガス」も、常温では「気体」だからだ。

『BP統計集2018(BP Statistical Review of World Energy June 2018)』によると、2017年の天然ガスの世界全体の生産量は3兆6804億立米(液化天然ガス=LNG換算約27億500万トン)で、消費量(3兆6704億立米=LNG換算約26億9800万トン)にほぼ匹敵している。

 だが、ほとんどが生産した国内で消費されており、国際取引されているのは約31%の1兆1341億立米(LNG換算約8億3400万トン)でしかない。しかも、入り口と出口が固定されていて、輸送の柔軟性に欠けるガス・パイプライン輸送が約20%の7407億立米(LNG換算約5億4400万トン)で、LNGとしての輸送は約11%の3934億立米(LNG換算約2億8900万トン)でしかない。

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