果たして政権交代はあるか(C)AFP=時事

 

 ニコラス・マドゥロ大統領が1月10日、2期目に就任したタイミングで急展開をみせ始めたべネズエラ危機。周知のとおり23日には、フアン・グアイド国会議長が「暫定大統領」就任を宣言し、事実上の二重権力状況が生まれた。

 その結果、反政府抗議活動の拡大激化を背景に、暫定政権を支持する米国や周辺諸国(リマグループ)、EU(欧州連合)諸国と、現マドゥロ政権体制を支持する中国・ロシア・キューバなど、国際社会を二分する対立の構図にまで発展。大統領選挙のやり直しによって危機が平和裏に収束されるか、あるいは新たな国際紛争に発展するのか、予断を許さない緊張が高まっている。

若き指導者の出現

 このひと月間の事態の進展の中で、驚きだったのは、野党反政府勢力が予想を超えて力を回復してきたことである。

 野党勢力は、2015年の議会選挙で議席の3分の2を制するほど圧勝し、絶対多数を占めた。しかし、破綻を招いたポピュリズム政策の転換を求める国会決議を、マドゥロ政権による強権的な司法権(最高裁判所)の駆使によって悉く反故にされ、2017年には翼賛的な制憲議会(新憲法制定のための臨時議会で、国会や最高裁を上回る権限を持つ)の設置によって国会権限をはく奪された。そして、その後の度重なる抗議活動も、指導者の拘束や弾圧によって抑えつけられ、国際社会からも見捨てられる形で勢力を弱めていたのが実態であった。

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