イタリアのポピュリズム政権を担う「同盟」のサルヴィーニ党首(右)と「五つ星運動」のディ・マイオ党首 (C)EPA=時事

 

 イタリアでポピュリスト政権が誕生し、早8カ月が過ぎた。今や、ポピュリストの政権参加が珍しくなくなったヨーロッパでも、イタリアでポピュリストが政権を取ったことは衝撃的だった。

 イタリアと言えばEU(欧州連合)の経済大国であり、EUの前身、ヨーロッパ経済共同体(EEC)の創設メンバーである。いわば、EUの中心的存在だ。ついにそういうところにまでポピュリストの手が伸びた――。これは、ポピュリズムの脅威が全ヨーロッパを覆い尽くす前触れなのか。ヨーロッパの人たちは不安の目でイタリアを見つめた。

 しかし、不安はそれだけではない。何と言っても、イタリアは巨額の累積債務を抱えている。その処理いかんでは、ユーロ危機の再燃もないわけではない。そういうところに、ポピュリズム政権が生まれ大盤振る舞いを約束した。一体、財源はどうするのか。財源を捻出できなければ、累積債務が膨らむだけではないか。ギリシャ危機をようやく乗り切ったEUが、イタリアのポピュリスト政権発足を前に、不安を隠しきれなかったのにはこういう事情がある。

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