「大盤振る舞い」インド「モディ政権」の焦り

執筆者:緒方麻也2019年2月20日
正念場を迎えるモディ政権(C)EPA=時事

 昨年末に投開票された西部ラジャスタン州、中部マドヤプラデシュ州など重要3州の議会選で敗北し、にわかに逆風が強まっているナレンドラ・モディ首相率いるインド人民党(BJP)政権。フランス製「ラファール戦闘機」の調達をめぐる疑惑や、マイナス影響のほうが大きかったとされる高額紙幣廃止の「失敗」などを野党から厳しく追及されていることは、『予期せぬ「逆風」で「モディ政権」総選挙へのカウントダウン』(2018年12月10日)で触れた通りだ。

 次期総選挙を3カ月後に控えたモディ政権は、高成長の恩恵に浴していないと感じている「怒れる農民」や零細企業従業員、そして重要な支持基盤である都市サラリーマンらをターゲットにした気配り満載の2019年度予算案を発表し、懸命の巻き返しを図っている。モディ首相の意を受けたシャクティカンタ・ダス新総裁を戴くインド準備銀行(RBI)も成長重視へと大きく舵を切り、予想外の利下げに踏み切った。これらの背景には、次期総選挙での楽勝ムードから一転、野党の厳しい追い上げに晒されたモディ政権の強い焦りが見て取れる。

農家と零細企業を手厚く保護

 2月1日、病気療養中のアルン・ジャイトリー氏に代わって財務相代理を兼務しているピユシュ・ゴヤル鉄道相が、国会で予算案を発表した。

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