来日の際、天皇陛下に謁見し、言葉を交わしたメルケル独首相 (C)時事

 

 アンゲラ・メルケル独首相が2月4~5日に来日した。安倍晋三首相との間で情報保護協定の締結で大筋合意し、安全保障・防衛分野での協力を推進していくことで一致した。

 貿易と投資面で中国との関係を重視し、日本との関係にさほど熱心ではなかったドイツだが、日本と初めて安全保障・防衛分野の協力に踏み込んだことは対中政策の大きな修正と言えるだろう。自国第一主義を強める米ロ中の大国に対して、先進中級国家の結束が急がれるいま、日独の利害も急接近している。このメルケル首相を、官邸はどうもてなしたのか見てみよう。

「言葉を交わさないように」

 メルケル首相はワイン好きで知られている。2005年の首相就任以来、今回で5回目の来日だが、2回目の2008年の北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)で、議長国の福田康夫首相(当時)と貴代子夫人が主催した社交晩餐会でこうしたことがあった(いまの主要国首脳会議は実務的な会合になっているが、当時は夫人同伴で、初日は首脳夫妻たちの社交を兼ねた晩餐会がもたれていた)。

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