「サッチャー」を通して見る「英国」「リーダー」

『マーガレット・サッチャー 政治を変えた「鉄の女」』著者インタビュー

執筆者:フォーサイト編集部2019年2月26日
1984年、フランスを訪問したサッチャー首相(左、右はミッテラン大統領=いずれも当時=)(C)AFP=時事
 
 

「鉄の女」と称されたマーガレット・サッチャー元英首相が2013年に87歳で亡くなってから、まもなく丸6年が経とうとしている。サッチャリズムと呼ばれた経済政策、フォークランド紛争での戦争指導など、強いリーダーシップで英国を引っ張り、「斜陽の帝国」を再建したことで知られる一方、欧州統合には徹底して反対を貫いた。

 英国は結局欧州連合(EU)に参加したものの、2016年に行った国民投票でEU離脱を決定。もっとも離脱を巡る国論はなかなかまとまらず、混乱した状況が今も続いている。そんな中、サッチャーの慧眼や指導力を懐かしむ声も多い。

 そんな中、サッチャーの生涯を追った評伝『マーガレット・サッチャー 政治を変えた「鉄の女」』(新潮選書)が刊行された。

 著したのは冨田浩司さん。1957年に生まれ、東京大学法学部を卒業後外務省に入省。総合外交政策局総務課長、在英国日本大使館公使、在米国日本大使館次席公使、北米局長、在イスラエル日本大使を経て、現在はG20サミット担当大使を務める、現役の外交官だ。2011年には『危機の指導者チャーチル』(新潮選書)を上梓し、あるべき指導者像を論じた。その冨田さんに、サッチャー政治とは何だったのか、その背景について聞いた。

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