海底パイプライン「ノルド・ストリーム2」は粛々と建設中だが(『FT』の当該ページより)

 

 2002年6月、ウィーンに集まった5カ国、5社の代表たちは「重要な一仕事」を終えた後、ウィーン国立歌劇場でヴェルディの歌劇『ナブッコ』を鑑賞した。この夜をきっかけに、誰から言うともなく彼らが関与した「重要な一仕事」、カスピ海周辺および中東から天然ガスを欧州に輸送するパイプライン計画を「ナブッコ・プロジェクト」と呼ぶことになった。

『ナブッコ』を鑑賞したトルコの国営ガス会社「ボタッシュ」、オーストリアのエネルギー会社「OMV」、ハンガリーのエネルギー会社「MOL」、ブルガリアの国営ガス供給会社「ブルガルガス」およびルーマニアの国営ガス輸送会社「トランスガス」の5社に、2008年に参加したドイツの総合エネルギー会社「RWE」を加えた6社は、2009年7月に「ナブッコ・ガス・パイプライン・インターナショナル」を設立し、2013年着工、2017年完工を目指して動き出した。

 ロシアの欧州向けガス供給の独占的地位をくつがえそうという、米国およびEU(欧州連合)の強い政治的後押しを受けて出発したプロジェクトである。

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