「ガス・パイプライン」で激化するドイツvs.ロシアの「つばぜり合い」

執筆者:岩瀬昇 2019年2月26日
エリア: ヨーロッパ ロシア
海底パイプライン「ノルド・ストリーム2」は粛々と建設中だが(『FT』の当該ページより)

 

 2002年6月、ウィーンに集まった5カ国、5社の代表たちは「重要な一仕事」を終えた後、ウィーン国立歌劇場でヴェルディの歌劇『ナブッコ』を鑑賞した。この夜をきっかけに、誰から言うともなく彼らが関与した「重要な一仕事」、カスピ海周辺および中東から天然ガスを欧州に輸送するパイプライン計画を「ナブッコ・プロジェクト」と呼ぶことになった。

『ナブッコ』を鑑賞したトルコの国営ガス会社「ボタッシュ」、オーストリアのエネルギー会社「OMV」、ハンガリーのエネルギー会社「MOL」、ブルガリアの国営ガス供給会社「ブルガルガス」およびルーマニアの国営ガス輸送会社「トランスガス」の5社に、2008年に参加したドイツの総合エネルギー会社「RWE」を加えた6社は、2009年7月に「ナブッコ・ガス・パイプライン・インターナショナル」を設立し、2013年着工、2017年完工を目指して動き出した。

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執筆者プロフィール
岩瀬昇 1948年、埼玉県生まれ。エネルギーアナリスト。浦和高校、東京大学法学部卒業。71年三井物産入社、2002年三井石油開発に出向、10年常務執行役員、12年顧問。三井物産入社以来、香港、台北、2度のロンドン、ニューヨーク、テヘラン、バンコクの延べ21年間にわたる海外勤務を含め、一貫してエネルギー関連業務に従事。14年6月に三井石油開発退職後は、新興国・エネルギー関連の勉強会「金曜懇話会」代表世話人として、後進の育成、講演・執筆活動を続けている。著書に『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?  エネルギー情報学入門』(文春新書) 、『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』 (同)、『原油暴落の謎を解く』(同)、最新刊に『超エネルギー地政学 アメリカ・ロシア・中東編』(エネルギーフォーラム)がある。
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