ドナルド・キーン氏とCIA東京支局長の関係:日本文学研究を勧めた恩人
2019年2月27日
日本文学に偉大な貢献を為し、最後は日本人として亡くなったドナルド・キーン氏(享年96)。本当に希有な元アメリカ人だった。
私は約20年前、一度だけ会うことができた。彼の自宅で貴重なインタビューに応じてくれた。
その時にお借りして複写した写真が拙著『秘密のファイルーCIAの対日工作』(新潮文庫)に掲載されている。写っているのは、ポール・ブルーム氏。戦後の1948年、初代の米中央情報局(CIA)東京支局長として赴任した。吉田茂首相とも親しい伝説的なスパイだった。真珠湾攻撃前の1941年夏、米ノースカロライナ州ブルーリッジ山脈の谷あいでくつろぐブルーム氏をキーン氏が撮った写真である。
山中で一緒に合宿
2人は前年、コロンビア大学で知り合った。ブルーム氏は横浜・山手の生まれで当時BIJ(Born In Japan)と呼ばれた。フランス人民戦線のレオン・ブルム首相の遠縁で、父はフランス人、母はアメリカ人でいずれもユダヤ系だった。一家でフランスに戻ったが、ドイツ軍のパリ入城でニューヨークに逃れた。40歳を過ぎていたが、日本語を学び直そうとしていた。
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