「与野党対決」を超えて訴訟にまで広がる「国家非常事態宣言」の余波
2019年2月28日
【ワシントン発】 メキシコとの国境沿いの「壁」建設問題を巡るドナルド・トランプ大統領と野党・民主党との対決は、2018年12月22日から米国史上最長となる35日間の連邦政府機関の一部閉鎖をもたらした。
1月25日の政府再開後から議会上下両院の歳出委員会に在籍する議員で構成された両院協議会が打ち出した今年9月末までの暫定予算案には、トランプ大統領が強く要求し続けてきた「壁」建設費57億ドルは盛り込まれず、「壁」ではなく「物理的障害物」の建設費など13億7000万ドルが規定されただけであった。
35日間に及び政府を閉鎖し、実利なしに政府再開に応じざるを得なかったトランプ大統領は、両院協議会でまとまったこの暫定予算案に署名することで、「壁」建設費57億ドルを断念したかのように映った。
ところがトランプ大統領は、署名した一方で、メキシコとの国境を越えて不法移民等が流入している事態により、米国に国益を脅かす国境の安全保障上及び人道上の危機が生じているとして、「国家非常事態(a national emergency)」を2月15日に宣言し、財務省や国防総省といった他省庁の予算を「壁」建設費に振り向ける大統領権限を行使した。
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